オステオパシーの創始者アンドリュー・テイラー・スティルは著書の中で、しつこいくらいにこの因果関係に関することを記している。端的に言うと「結果ではなく原因に対処しろ」ということである。
しかし現実的には、この因果関係を明らかにするということは一筋縄ではいかない。その理由はいくつもあるのだが、代表的なものをいくつか挙げていこう。
因果関係は「一対一」ではなく「多対多」である
ある結果を生じさせる原因は一つとは限らない。むしろ複数あることが一般的である。
原因から結果に至るまでの時間は様々である
直接的で即時的な結果に対する原因はわかりやすいが、時間が経つほどわかりにくくなる。場合によっては原因から結果に至るまで数十年かかることもある。
原因も結果も時間とともに変化・変動する
原因は現在、結果をもたらした当初の姿ではないかもしれない。結果Aが次の結果Bをもたらし(つまり結果Aが結果Bの原因になる)、さらに結果Bが結果Aに影響を及ぼすことがある(つまり結果Bが結果Aの原因になる)
因果関係と相関関係の混同
単なる相関関係を因果関係と誤解してしまう、原因と結果の流れを逆にとらえてしまう、A→Bという因果関係だと思っていたものが、実は隠れた原因Cを起点としたA←C→Bという関係だったなど。
こういったことを考えると、原因と結果の関係を完全に把握することは不可能である。実際には、関連する要素をすべてリストアップすることさえ不可能なのである。
それでは、我々臨床家はどうすればいいのか?
私は2つの対応ができると考えている。
この続きは明日書こうと思う。読者の方々にも是非考えて欲しい。私の大阪の講義に参加している人であれば、前回話したのでわかるだろうと思う。もしかしたら私の考えよりも良い考えがあるかもしれない。いい考えが浮かんだ人は是非コメント欄に書き込んで欲しい。
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所長
院長 : オステオパシー 川原治療院
ここに書かれていることは一人のオステオパスの個人的見解であり、オステオパシーの標準的な考えとは限りません。批判や意見は大歓迎です。

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